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クビアカツヤカミキリサクラ

【現場レポート】桜を脅かす「クビアカツヤカミキリ」との過酷な戦い〜京阪園芸の駆除作業の最前線〜

春になれば当たり前のように咲き誇る、美しい桜。

しかし今、私たちが慣れ親しんできたその風景が、かつてない危機に直面しています。

その元凶が、特定外来生物「クビアカツヤカミキリ」です。

驚異的な繁殖力でサクラやウメなどの樹木の内部を食い荒らし、木を枯死させてしまうこの特定外来生物により、各地で被害が急拡大しています。

今回広報スタッフが足を運んだのは、クビアカツヤカミキリの被害が進行している場所です。

そこではすでに次々と桜の木が枯れて、悲痛な状況が広がっていました。

この災害級ともいえる被害を食い止めるべく、最前線で奮闘しているのが「京阪園芸」の対策プロジェクトチーム「京阪園芸クビアカバスターズ」です。

桜の命をつなぐため、現場ではどのような対策が行われているのか。

その過酷な現場作業の様子をレポートします。

チームワークと工夫が光る「防除シート」の設置

最初に見学したのは、クビアカツヤカミキリの成虫の脱出や、外部からの新たな産卵を物理的に防ぐための「防除シート」を巻き付ける作業です。

「1番下ね、ここにね。80、85、83cmやな」「下から巻いて。ちょっと引っ張りながら」「幅が25cm。5cmかぶせて……上からタッカーで留めて」

現場では、スタッフが声を掛け合いながら手際よく作業を進めていました。

この作業は京阪園芸のスタッフだけで行うのではなく、株式会社白崎コーポレーションと連携して進めています。

まずメジャーで対象となる桜の幹周りを測り、シートに穴を開け、1枚のシートを地面に固定します。

桜の株元にシートを貼ると雑草の抑制にもなり、フラスの発見も容易になります。

続いて、幅25cmの保護シートを5cmずつ重ねて隙間なく巻き付けていきます。

(協力)株式会社白崎コーポレーション

シートを強く引っ張りながら、タッカー(建築用ホッチキス)やテープでしっかりと固定していきます。シート巻き作業は大きな桜でも1本20分程度で、手軽に施工できる利点があります。

そして最後に、幹の一部に“あえて違う素材のシート”を貼り付ける工程がありました。

現場の担当者の池田さんはこう解説します。

「巻いているシートには卵を産み付けられないんですが、一部分だけ少しざらっとした繊維の違うシートを貼ります。クビアカツヤカミキリは樹皮の隙間などに卵を産む習性があるので、『ここなら産めるな』と判断させる。あえてそこに卵を産ませて駆除するための、実証段階の取り組みです」

ただ物理的に防ぐだけでなく、虫の習性を逆手に取った緻密な工夫が凝らされていることに驚かされました。

シートの下に隠された「フラス」の恐怖

続いて、実際に今年の3月に巻いたシートを外してみます。

「ビフォーアフターですね。どうなっているか……ああ、出た出た」シートを剥がしてみると、意外にも大量の虫の姿はありませんでした。

しかし、そこには大量の「フラス(幼虫が木を食い荒らした際に出る、木くずと糞が混ざったもの)」と、一部の虫の死骸がごっそりと溜まっていました。

クビアカツヤカミキリの死骸
大量のフラス

フラスが大量に出ているということは、すでに幼虫が木の内側に入り込み、養分を運ぶ大切な層を食い荒らしている決定的な証拠です。

シートを外した時にクビアカツヤカミキリがシート内から脱出できず死んでしまうことで防除効果があります。

外見は立派な桜の木でも、目に見えない内部で着実に被害が進行している恐ろしい現実を突きつけられました。

炎天下での完全防備。過酷を極める「薬剤散布」

最後に見せていただいたのが、成虫が飛来する6月から9月にかけて計3回行われる「薬剤散布」の様子です。

作業が行われるのは、うだるような真夏の炎天下。

暑い中ですが池田さんは防護服を着用します。

軽トラックに積んだタンクから長くて重いホースを伸ばして歩き回り、公園中のすべての桜の木に丁寧に薬をまいていきます。

京阪園芸クビアカバスターズはただ目の前の害虫と戦っているだけではなく、「来年も、数十年後もこの場所に桜を残したい」という執念で、過酷な作業に向き合っているのです。

待ったなしの状況。私たちにできること

今回の取材を通して感じたのは、クビアカツヤカミキリの対策がいかに時間と労力を要する「地道で過酷な戦い」であるかということです。

被害に遭った桜を放置すれば、数年で枯死して倒木の危険が生じ、旺盛な繁殖力によって周囲の木々へもあっという間に被害が拡大してしまいます。

現に、この公園の近くの河辺の桜並木もほとんど全てが枯れ果てて、悲しい風景が続いていました……

一度入り込まれると特効薬はなく、今回密着したような「シート設置」や「薬剤散布」といった地道な防除作業を、人の手で徹底して行うしかありません。

日本の春の象徴である桜を守るためには、一刻の猶予もありません。

私たちが普段歩いている公園や街路樹の根元に、オレンジ色の木くず(フラス)を見つけたら、それは桜からのSOSです。すぐに自治体や専門家に相談するなど、私たち一人ひとりが危機感を持ち、早急な対策へつなげていくことが強く求められています。

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